タワーと卒塔婆

2025/05/03

たまには医学医療とは全然関係ない話を。


与太話ですから、あちこち間違っているかも知れません。医学医療の話ならきちんと文献を調べて書きますが、晩酌の後の与太話ですからその辺はご容赦を。


東京タワーの「タワー」とお墓の「卒塔婆」の語源が実は同じだと言ったら皆さん信じますか?


実は同じなんです。語源はインド亜大陸に残るサンスクリット語の「ストゥーパ」です。インド,スリランカからタイ、カンボジアまで仏教地帯を訪れると大小たくさんのストゥーパがあります。仏教のストゥーパは、仏舎利、つまり仏様を火葬にしたとき残った骨の破片を祀る塔でした。日本の五重塔なんかも同じです。ええ、塔(とう)と言う言葉自体、じつはストゥーパが遙か遠くアジア大陸の東まで来て変形して出来た言葉です。つまり、タワーも卒塔婆も塔も、語源はストゥーパなんです。


最近は「語族」という概念はあまり使われないのですが、やはり言語には「それぞれ関係がある言語」と「基本的に無関係な言語」というのはあります。


どうも今で言うロシアと東ヨーロッパの境あたりにいた遊牧民族が、南下したのがインドのアーリア人、西に行って民族大移動を引き起こした連中がヒットラーが根拠が無いまま神聖化したアーリア人のようです。その中にはゴート族やガーリア人やあれやこれや、得体の知れない連中がたくさんいたのですが、それはもうかなり分裂した末です。その大本の民族というものが存在し、彼らの言葉が今でも世界中の言語の端々に残っているのです。タワー、卒塔婆、塔の源は同じだ、と言うのが一例です。


Station(ステイション)、state(ステイト)という言葉もそうです。アフガニスタン、カザフスタン、ウズベキスタン、キルギスタンとか、中央アジアの国々の名前には「スタン」とつきます。ローマ文字ならstan, キリル文字ではстанです。あのスタンはstation, stateと語源が同じです。おそらくcenterが元の意味に一番近いかも知れません。綴りはsからcに変わりましたが、Centre, centerも元は一つの単語に由来しているはずです。面白いことに、ギリシャ語にはこのstateやстанと語源を同じくする単語はありません。同じ意味のギリシャ語であれば、πόλις (ポリス)になります。しかしラテン語にはあるのです。Status(スタトゥス)です。つまりラテン語は必ずしもギリシャ語をそのまま引き継いではいません。ラテン語はギリシャ語由来の言語に、かなり多くのウラル・アルタイ語族の言葉をつぎ込んで出来ています。


因みに、飛び地が一つあります。タイ語の「สถานี」(サターニー)、駅です。要するにこれは、英語のstationが訛ったものがそのまま定着したのです。日本でも明治時代、駅は「ステンショ」と呼ばれました。しかし漢字文化圏の日本では、それは昔からあった「駅」にすぐ置き換わりましたが、タイではstation(ステイション)が「สถานี」(サターニー)とタイ語化したまま残ったのです。


ま、今宵はこの辺で。
 

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