あゆみ野クリニックが煎じ薬に拘るわけ

2023/05/25

当院の煎じ薬治療は保険がききます。それでも薬剤師の調剤料や宅配料など実費分がどうしても一月数千円発生します。保険がきく薬代は自己負担一ヶ月2,3千円ですが、その他に実費が6千円ぐらいかかるという事です。


しかし当院は煎じ薬治療に拘ります。漢方薬には煎じ薬と一般の医療機関で広く使われるエキス剤(粉の漢方)がありますが、エキス剤の効果は煎じ薬のほぼ半分です。例え生薬の量が同じでも、効果は半分になります。


その上、当院の煎じ薬で使う生薬の量は、一般のエキス剤よりかなり多くなります。これは当院が中医学(中国伝統医学)をベースにしているからです。例えば桂枝茯苓丸加薏苡仁(けいしぶくりょうがんかよくいにん)という処方がありますが、ツムラのエキスでは一日分に含まれる生薬の量が薏苡仁10g、桂皮4g、芍薬4g、桃仁4g, 茯苓4g, 牡丹皮4gとなっています。当院の煎じ薬では、患者さんの体調にもよりますが、薏苡仁30g、桂皮、芍薬、桃仁、茯苓、牡丹皮は全て9gが基本です。薏苡仁は利水薬と言って身体の余計な水を抜くというのですが、これはハトムギです。ハトムギを一日10g煮て飲んだって薬として効くとは思えません。どうしても30gとか、そういう量が必要です。


更に煎じ薬では、ベースとなる処方はありますが、そこに患者さんの病状に応じて生薬を加減します。例えばある患者さんには上の処方に更に当帰6gを入れるとか、蒼朮、沢瀉を加えるとかです。エキス剤はそうした自由な出し入れは出来ないので何か他の処方と合わせるという事になりますが、そうすると不要な生薬まで入ってきてしまいます。エキス剤に足し算はあっても引き算はないのです。

 

当院は漢方診療としてはあくまで専門医療をやっていますので、上に述べた色々な理由から、煎じ薬治療を基本にしております。


 


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