危ない喘息治療

2023/06/23

発熱外来にきた男性、2週間咳が続くという。もともと喘息がある。聴診すると右背部に喘息の雑音が入る。喘息の薬は何かと聞いたら、ベータ刺激剤の吸入だけだと。サルタノールという奴だ。その先生はこれしか出さないのかというと、出さないという。そのほかには風邪ひくと風邪薬を貰うだけだというから「その医者にかかっていたらあなた死ぬから。医者の仁義には欠けるけど、あなたの治療はこれから私がやる。仁義に欠けても患者の命には変えられない」と言って患者取ってしまった。「それから風邪ひいてもあなたは風邪薬飲んじゃダメだ。死ぬよ」と言って「この薬だけは飲んでいい」とソランタールを渡した。向こうにご報告をするつもりはない。だってもし何か向こうの医者に書くとしたら、悪口雑言の羅列にしかならないからだ。七十代の内科医だそうだが、やっぱり医者も七十代になると色々、ダメだ。

解説。喘息の基本治療は吸入ステロイドです。ベータ刺激剤は一時的な気道拡張作用がありますが、気道の炎症を抑えることはないので、発作のたびにベータ刺激剤で誤魔化していると、そのうち炎症が進み大発作を起こして時には即死します。また喘息患者が一般の風邪薬に含まれる解熱鎮痛剤NSAIDSを飲むと喘息発作を起こすのは有名です。喘息患者が飲んで良い解熱鎮痛剤はごく限られます。昔から定評があるのはソランタールです。薬局の風邪薬を買って飲んでもダメです(葛根湯など漢方の風邪薬はOIK)。

素人が知らないのは仕方がないとして、喘息の患者にステロイドの吸入薬を出さず、風邪ひいたら風邪薬を出す医者というのは患者殺したいのかって話です。

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