漢方外来で漢方を出さないとき

2023/07/03

先日「胃腸の具合が悪い」と言ってオンライン漢方診療にかかられた人がいました。色々症状は聞いたのですが、実はこの方が現在服用されている薬の一つが、高頻度に吐き気や下痢、便秘、胃もたれ、胸焼けなどを起こすというのです。その薬は私が判断するに一時中止して見ても差し支えはないものだと思いました。それで、私はその人に「まずはその薬を止めてみて下さい。2週間止めても胃腸の具合が悪かったら漢方診療を考えます」と言いました。

「怠さと疲れやすさ」で受診してきた人もいます。それだけ聞くと如何にも漢方が向きそうです。しかしよく話を聞いてみると、「夜間熟睡出来ない」、「最近15キロ太った」と言い、「既往歴に高血圧がある」そうです。


そこで私はその人に訊きました。
「いびきはかきませんか?」
そうしたら「そうです。私いびきが酷いんです」というわけです。


「佐藤さん(仮名)、漢方の治療は後回しです。あなたは睡眠時無呼吸症候群の可能性が高いです。病院で検査を受けて下さい」と言ったらその方は大変びっくりして、そんな病気があるなんて知りませんでした。さっそく検査を受けられる病院を探します」という事になりました。


こちらはリアル外来に来た方ですが、若い女性が「足元が冷えて疲れやすい」と言って漢方治療を希望されましした。「当帰芍薬散が効くとは思いますが、本物の貧血や甲状腺機能低下症でもそういう症状は起きますからまずはその検査をします」と検査しました。その結果は週明けに出るはずです。


こう言うことをきちんと考えられない漢方医って、ダメなのです。単に症状を聞いて、何かの漢方ハウツー本で「ハイこれ」と漢方を出す漢方医に掛かるのは、危険です。当院の漢方診療は、そういうことをきちんとやれる漢方医がやっております。


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