血圧が高くて初めて受診された時

2023/10/31

採血したけど結果を患者さんが聞きに来ないまま溜まっている検査結果がこんなにありますと渡され、おったまげました。数は数えてないけど、ざっと百数十枚ある。びっくりして昼休みに一枚一枚見て行ったんです。

 

 

まず発熱外来関係のものがおおよそ50枚。これは問題ないです。発熱外来やっていると時々コロナやインフルエンザではない炎症の人が混じってきます。肺炎とか腎盂腎炎とか。こういう人は治療に急を要するから、検査結果は至急ファックスとか検査会社からの直接オンラインで見て患者さんに話しているので、正式な報告書が後から来ただけなので、もういらないものです。

 

 

50枚くらい、異常値が出ているのに患者さんが結果を聞きに来ていないというものがあって、これは明日から時間を見て順々にカルテと照らし合わせてどういう人でなぜその検査をしてその後どうなっているのか本人に確認しようと思います。

 

 

残り数十枚が主に血圧の初診でした。

 

4、50代以下の人が健診などで高血圧を指摘され、初診で来たときは、まず血圧手帳を渡します。朝晩の血圧を家で測って、7日分ぐらいつけてきてくださいと言います。一方でそのぐらいまでの年代で初めて高血圧で受診したという人には、色々な検査が必要になります。

 

 

「血圧が高い」という人の9割は「本態性高血圧」、つまり年齢とともにだんだん血圧が上がるので、私もその一人なんでですが降圧剤で治療します。しかし1割はなんらかのホルモン異常があるのです。甲状腺ホルモン、副腎皮質ホルモン、腎臓のホルモンなどの異常で血圧が上がっている人が約1割います。ですから初めて「血圧が高い」と言って受診した人は、必ずこれらのホルモンの採血が必要です。1割って、そんなに稀じゃないですから。

 

 

しかしどうもスタッフによると「血圧が高いと言われてきただけなのにこんなにたくさん検査された」と窓口のお会計で不満を漏らす方がかなりいるんだそうです。もちろん採血する時はなぜそういう項目を採血するのか説明しているのですが、結局会計の時になって「高い」という話になるようです。

 

 

初診で今まで治療を受けていない血圧患者についてそうしたホルモン関係の採血をするというのは、どこの町医者でも知っています。だって初期研修医のマニュアル本に書いてある程度の知識ですから。でも患者さんからすると、「ただ健診で血圧のことを言われたからきただけなのになんでこんなたくさん検査してこんなに金取るんだ」って話になるようです。

 

 

邪推かもしれませんが、同じ検査を市立病院や日赤がやっても、多分文句は出ないんでしょう。健診で言われてうるさいから町医者にかかっただけなのに、ぼったくりやがった、ということじゃないかと思います。

 

 

確かに、「血圧が高い」と言ってきた患者に黙ってポンと降圧剤を出す医者って、います。でもそれって、実は患者が医者に舐められている、あるいは匙を投げられてるんです。おそらくそういう先生は、今回私が気が付いたようなことを散々経験したんでしょう。そして「どうせこういう検査すると患者来なくなるから」と言って検査しなくなったんだと思います。一回検査して入るお金より、ともかく患者捕まえてずっと通ってくれた方が、経営上は得ですから。

 

 

どうするか考えて、これからはいくつか検査コースを作って料金メニューを出そうか、という話を今しています。全体としてこれだけ検査が必要ですが、今日一回にやるとおいくら、これとこれの2回に分けるとそれぞれおいくらみたいな。でも「検査は困る、薬だけくれ」というのは当院としては無理です。だってそういう人に限って後から「甲状腺機能亢進症だった」となったときに、ころっと態度変えるんですから。
 


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