咳止めが姿を消したわけ

2024/02/06

みなさん「咳止めがない」ってご存知ですか?今、インフルエンザやコロナで咳がひどい人に咳止めを処方しても、薬局に咳止めがないのです。いくら処方箋で咳止めだしても薬局が問屋から買えないんですから、処方できない。

 

 

同じ薬局で売ってる自費の咳止めは買えます。なぜ医療保険で処方する咳止めはなくて自費なら買えるのか。

 

 

理由は単純です。医療保険で決められた咳止めの値段が安すぎる。

 

 

保険診療ってのは、全ての値段が国によって決められています。薬の値段も全部国が決める。それで、一番代表的な咳止めアストミン一錠の値段が5.7円なんです。一錠5.7円で売れと言われたって、そんなに安くアストミン作れない。いくらジェネリックでも無理。飴玉一個だって5.7円じゃ買えないでしょう。製薬会社が「日本のアストミンの公定価格5.7円なんだけど、それでどうにかうちが利益出せるようにアストミンの原料売ってくれ」って中国の会社に頼んだら、あっさり断られたそうです。

 

 

そりゃあそうでしょう。どっちも商売です。末端最終価格5.7円の薬で利益出るように原料買おうと言っても、原料売る側だって「そんな値段じゃとても売れない」ってことになります。

 

 

実は咳止めだけではないです。大事な大事な抗生物質であるペニシリンも、インフルエンザの治療薬で小児用のタミフルドライシロップも、全然手に入りません。理由は同じ。国が公定価格下げすぎて、そんな安い値段じゃ作れない。原料買えない。

 

 

安けりゃいいってもんじゃないんです。値段下げすぎて作れない、手に入らないんではどうにもなりません。ちなみに薬局で自費で咳止め買えるのは、薬局に置いてある薬の値段は国の公定価格じゃないので、ちゃんと利益が出せる値段で売ってるからです。

 

 

医療費は安くと言ったって、限度があるんです。


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